
本学大学院医学研究科循環器内科学の研究グループによる総説論文が、生物医学系トップジャーナルのひとつである Journal of Clinical Investigation(JCI)の特集シリーズ「The cGAS-STING Pathway: DNA Sensing in Health and Disease」に掲載されました。
心血管疾患(CVD)は依然として世界の死亡・罹患原因の第1位を占めており、その病態には「炎症」が深く関わっています。本総説では、自然免疫の中心的なDNAセンサーである cGAS/STING経路 が、心血管疾患の炎症・細胞死・線維化にどのように寄与するかを包括的に整理しました。
この経路は、細胞質に漏れ出したミトコンドリアDNAや核DNA(自己DNA)を感知し、TBK1・IRF3・NF-κBといった炎症性シグナルを活性化します。加齢・肥満・喫煙などのリスク因子がこうした自己DNAの放出を促し、動脈硬化、高血圧、肺高血圧、大動脈瘤・解離、心筋梗塞、心筋症、心筋炎、心房細動など、多岐にわたる病態に関与することが近年明らかになりつつあります。血中の cell-free DNA が疾患バイオマーカーとなる可能性や、cGAS阻害薬・STING阻害薬による治療応用への展望も論じています。
本学循環器内科は動脈硬化や肥満における自己DNAやcGAS/STING経路の役割について、重要な知見を数多く報告してきました。今後のさらなる研究の推進により、本経路の時空間的な制御に基づく治療戦略を確立し、心血管病の新規治療開発につなげたいと考えています。
論文情報:J Clin Invest. 2026;136(13):e204551