大阪公立大学 大学院医学研究科 循環器内科学

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肺高血圧症

肺高血圧症とは

 肺高血圧症とは、肺動脈の血流障害により肺動脈圧上昇、循環不全を来たす極めて予後不良の疾患群です。労作時や安静時に呼吸困難感を自覚される患者様の中に肺高血圧症は潜在しています。肺高血圧症は原因により病型分類が細分化されており、各種検査を組み合わせて的確な診断を行い、それに基づいた治療方針の決定が必要です。なかには肺疾患や肝疾患、膠原病などの疾患を背景として肺高血圧症を来している患者様もおられ、多領域の診療科連携が必要となることも多い領域です。また、治療開始のタイミングの決定や治療後の慎重なフォローアップも必要であり、専門性の高い領域とされています。

肺高血圧症の検査

肺高血圧症が疑われた場合、心エコー検査や採血などを行い肺動脈圧の上昇所見がないかスクリーニングを行います。肺高血圧症が強く疑われる場合、確定診断のために右心カテーテル検査を行います。当科の肺高血圧症グループでは積極的に右心カテーテル検査を行い、病態や血行動態の把握を精密に行うことで予後改善に繋げる取り組みを行っています。また、造影CTや肺動脈造影検査、呼吸機能検査、肺血流シンチグラムなど各種検査を組み合わせて肺高血圧症を来たす原因疾患を調べます。運動負荷右心カテーテル検査や、一酸化窒素吸入による急性肺血管反応性試験など特殊検査も行っております。

肺高血圧症の治療

治療内容は原因となる疾患や病態により様々で、患者さんごとに適切な治療を行います。
特発性肺動脈性肺高血圧症は比較的若年で発症する予後不良の難病として知られています。的確に診断を行い、より早期に強力な肺血管拡張療法を行うことで血行動態を正常化に導くことが予後改善に繋がると考えられています。当院ではこの特発性肺動脈性肺高血圧症の患者様に対してプロスタグランジン製剤の持続静注・持続皮下注療法も積極的に行っています。
肺動脈内の器質化血栓を病因とする慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者様は、ときに造影CTなどで肺動脈内血栓が同定されず原因不明の低酸素血症とされることもあります。当院では、この疾患の根本的治療法であるバルーン肺動脈形成術(BPA)も年間50回程度施行しており良好な成績を収めています。BPA治療により一部の患者様では在宅酸素療法を離脱できる患者様もおられます。
間質性肺炎や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患、肝硬変などによる門脈圧亢進症、膠原病といった循環器領域外の疾患を背景として肺高血圧症を発症する病態もあり、またそれらのオーバーラップした病態も多く存在します。このため、当院では呼吸器内科、肝胆膵内科、膠原病内科などの多くの診療科と連携を取りながら診断と治療に取り組んでいます。

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