心筋症は、「心筋そのものの異常により、心臓の機能異常をきたす病気」です。原因を特定できる特定心筋疾患(二次性心筋症)と、はっきりした原因が特定できない特発性心筋症に分類することができます。
特発性心筋症は、心筋が薄く拡大する拡張型心筋症、心筋が厚くなる肥大型心筋症などがあります。特発性心筋症にはそのほかに、拘束型心筋症、不整脈源性右室心筋症が含まれます。二次性心筋症としては、狭心症や心筋梗塞などを発症し、心臓への血流の悪化が原因となる虚血性心筋症、アルコール性心筋症、周産期心筋症などさまざまなものがあります。最近では、抗がん剤など特定の薬剤使用に伴う薬剤性心筋症も多くなっています。その他にも、全身疾患に伴う心サルコイドーシスや心アミロイドーシスなどの心筋症もあります。
心不全症状が重要となりますが、無症状の段階では、血液検査、心電図、レントゲン異常などにより発見されることがあります。診断には、心エコー図検査による形態的な評価が重要となります。更に詳細な検査としては、心臓CT・心臓MRI・放射性同位元素(RI)を用いる心筋シンチなどがあります。非侵襲的な検査のみで原因がはっきりしない場合は、心臓カテーテル検査が必要となります。カテーテル検査によって、冠動脈に狭窄がないことを確認し、さらに心臓の筋肉の一部を採取し(心筋生検)、顕微鏡検査を行います。これらの検査で、心筋症の最終診断を行います。
かつては、不治の病という印象もあった心筋症ですが、近年、有効な薬物療法やデバイス治療の進歩により治療成績は向上しております。また、いくつかの心筋症で原因治療も可能となってきています。